<完> 冬桜よ、散りゆけ  –諦めるべき恋なの?–

 足の速い海翔に追いつかれたくない。

 よし、今だ。

 両手をくるんと回して、それと同時に足音を鳴らす。

 そして、走る。

 うまくいった!


 だが、海翔の反応は早い。

 昇降口を出たところで、桜の手をつかむ。

 また痛みが走る。

 ひるんだ。

 そのまま桜は昇降口に連れ戻された。

 はあ、失敗。

 海翔に運動神経ではかなわない。

 がっくり。