「さっ、さく・・・あっ、先輩・・・。」

 二度と“桜”と呼ぶなっと言ったからね。

 やっと、言葉が出た。

 しかし、このあとが続かない。

 桜は落胆する。

 ああ、一生懸命聞こうとしたのがバカみたい。


 いったん下を向いていたが、顔を上げた。

 そしてら、教吾の姿が目に飛び込む。

 桜が気が付いたことをわかっているのか?

 隠れない。

 それどころか、

『言え。』
『やれ。』

 と言いたいのか。

 一生懸命口ぱくしている。