桜の思考がまた停止。

 こんなに痛いのに、なぜ放さない?

 そもそも、海翔は手首をつかまれたら痛いと思っているのか?

 たぶんわかっていない。

 そう考えたら、

「あのさ、痛いんだ。
 だから、放してほしいの。」

 海翔の心に響く。


 
――痛いんだ。
   って、俺何してたの?――

 海翔は手を緩める。

 でも、完全に放さない。

 なぜか、分からない。