すっかり、桜の動きが止まってしまった。

 男の子に手をつかまれ、桜の顔は真っ赤。

 海翔もとっさの反応でやっちゃったので、海翔も恥ずかしい。

 だからっといって海翔は手を放さない。

 今度こそ、聞いてほしいから?


「放して、放して。」

 桜はやっとほどこうとする。

 腕を縦、横、斜めに動かす。

 しかし、ほどけない。

 手首を回してほどこうとしても、勢いが足りないせいか、ほどけない。

「お願いです、聞いてください。」
「放して。とにかく放して。」

「放しません。」