「桜ちゃん。」

 その声に、我に返った。

 すぐ隣に海翔と、四年生の三浦恭平が立っている。

「なんか最近、ぼぉ~っとしてるとき多くない?」
「恭平の言うとおり、前から思った。」

「そう?」

 っと思っていたら、確かにそうだったことに気付く。

 卒業ばかり考えていたから。

「あと二ヶ月で、桜は卒業するんだよ。」
「確かに言われてみれば。」

 桜は、桜の木の方に視線を移す。

「なんだか、寂しいな。」

 ふと空を見上げた。
 同じ中学に行く人が少ないから。
 
「でも、俺さ、桜と同じ中学に行くんだよ。」
「えっ?海翔もそうだったっけ?」