「乾杯」 チン、とグラスが3つ触れ合う音を、俺は暗闇の中で聞いた。 この状況の中で、明らかに不似合いな響きだった。 「それにしても、レーザーポインターで彼だけを振り向かせるなんて、一か八かでしたわね」 「駅でのこと?」 「ええ」 「練習したわよー、だってそうでもしないと、全然違う人が寄って来ても困るでしょ」 「ふふ、たしかに」 3人は、後ろに転がっている息も絶え絶えな俺のことなど存在しないかのように、穏やかに会話を楽しんでいるようだった。