気のせいか。



そう思って改札へ歩き出した。



するとまた、目の隅に何か見えたような気がした。



俺は立ち止まり、人が消えていくホームでひとり、目を懲らした。



「…なんだありゃ」



反対側のホームの端に、黒いかたまりがある。



よく見ると、人がうずくまっているようだった。



蛍光灯の明かりすら届かないあんな隅で、一体どうしたというのだろう。



放っておけばいいものを、俺は律儀に反対側に渡り、少し離れたところから声をかけた。