Bar GRANT




このとき俺は、ほんの少し感動しただけだった。



いやなんて言ってるけど、俺がソロになったらまたライブに来るんだから同じじゃないか。



そんなことを考えながら、妙に冷静に会場を見渡していた。



ライブ会場が、俺を中心に回っていた。



「まるでピエロだな…」



自分を嘲り笑う。



そのときだった。



俺の耳に、待ちわびた声が聞こえた。