Bar GRANT




観客の声援に応えるように熱のこもった演奏が空気を揺らす。



だけど、いつまで経っても、KEIJIを呼ぶ声は聞こえなかった。







すべては、NAOが言った通りだ。



客が見ていたのは、俺じゃない。



大好きなNAOやMEGUやSOTAがいる、skaalというバンドのボーカル。



俺自身が誰かなんて、興味もない。



観客の歓声が、それを証明していた。