そして俺は、白い息を吐きながら、抜け殻のようになった体をかろうじて家まで運んだ。 途中で無性に泣けてきて、眼鏡は曇るし、ずり落ちそうになるしで大変だった。 止まらない涙は、決して女との別れが悲しかったからではない。 虚しさと情けなさで、俺は昨夜から、夜が明けるまでずっと泣き続けた。 俺の2年間を返せ。 俺の金を返せ。 俺の心を返せ。 気が付けば俺は、もう28歳になっていた。