数分も待たないうちにカウンターに置かれたビールは、薄明かりの中で、少し濃い琥珀色に見えた。 「ベルギーのオルヴァルというビールです」 「オルヴァル…」 グラスを口に近づけると、花のような香りがした。 ふと、解散ライブが終わった直後に渡された花束を思い出した。 あれ、どうしたっけ…― 持ち帰った記憶はないから、マネージャーの家かな。 それとも、事務所かな…。