Bar GRANT




「KEIJIだよ、絶対」



俺の耳にも届いた、その声。



そうだよ、俺はKEIJIだよ、サインでも写真でも、何でもいいよ。



だけど、隣の女は興味なさげにこう言った。



「私、あのバンド好きじゃないけど、あえて言うならNAOが好きだったなぁ」



聞こえているという自覚があるのかないのか。



俺は立ち止まって3人の女の視線を受け止めていた。