プロモーションのことは、もちろん覚えている。



駆け出しの芸人が司会の深夜バラエティ。



NAOはひとり、シングルの宣伝権を賭けて、バカバカしいゲームをやっていた。



罰ゲームで顔中をクリームや粉まみれにして、それでも最後にはきっちりとPRしてくれた。



俺はそういうときの番組は必ず観たし、感謝もしていた。



でも、それを口に出したことはなかった。



だってテレビで見るNAOの顔は本当に楽しそうで、やりたくてやっているんだと思ったから。