ふーんと空返事をし、カズは再びジャンプへと戻った。

僕も視線を窓へと戻す。

風が止んだのか、花びらはもう散ってはいなかった。

静止した桜を見つめながら、ぼんやりと思う。

…いつから、明日可と会ってないだろう?


春休みは先に述べた通り、補習で全てつぶれてしまった。
それでも会いに行く時間はあった。

それを断ったのは、明日可だった。

『あたしに会いに来る暇があるんなら、しっかり勉強してちゃんと進級して!』

…だそうだ。

まぁ確かに、補習をクリアしないと僕の進級は危うかったわけで。
春休み会えないのと、学年が変わってしまうのとを天秤にかけた僕は、当然の事ながら前者を選んだ。


…そんなこんなで春休みはひたすら勉学に勤しみ、晴れて3年生になれたわけなのだが。

今度は明日可が、ちっとも学校に出てこない。

メールは通じるし、休む理由も検査や通院などとはっきりしていたから、そこまで大きな不安はなかった。


…それでもやっぱり、1ヶ月以上も会えないのは辛かった。