帰り際に見かけた、付き合いたてのカップルの姿。すごく羨ましく見えた。 今日だけじゃない。今までもカップルの姿を見てそう思っていた。 近くにいたら、あんな風に出来ていたんだろうなって。 写真だけじゃ、思い浮かべるだけじゃ……声だけじゃ足りないよ。 いつだって、会いたいと思ってた。 「ほら、ハンカチ」 「ん、ありがどー」 あと少し。 荒ちゃんに会える日まであと少し。 こうやって絢子や高校の友達と会えるのもあと少し……なんだね。 嬉しいけど、少し寂しい。 「あ……絢子ぉ」 「何よ」