そして……放課後。



担任に指定された教室で待っていると、村沢はしばらくしてからやって来た。



「ごめん…遅れて!」



「別に……いい。」



あぁ…
やっぱり無理かも──



せっかく担任が取り付けてくれた補習だし、私にとってはありがたいけど…



目の前にいる人が……ね。



「相変わらず冷たいなぁ…秋山は。で、なんでいきなり理系大学なの?」



補習を始める前にそれだけは聞いておきたい。



村沢はそう言って、私の目の前に座り、真っ直ぐに目を見つめてきた。



「…勉強したいから。それ以外に理由なんてない。」



私は村沢から目を反らし、呟くようにそう答えた。



「ふ〜ん…正木先生の言ってた通り、か。ま、いいや。他の理由はこれから話してくれれば。」



他の理由……?



もしかして…
勘づかれてんの?



「じゃ、始めるか。今日は俺の専門科目、化学だ!」