「なんか、久しぶりだね。一緒に帰るの」


「うん、そうだね」


「中野さん、言葉遣い丁寧になったよね」


「…?そう?」


「うん、きっと斎藤くんと付き合いはじめたからだね」


「………」



『咲羅、よく笑うようになったよね。表情豊かになったっていうか』


『雅翔くんのおかげで、わがままも言えるようになったな』


雅翔と付き合いはじめて変わった


言葉遣い、表情、性格


雅翔が、変えてくれた


俺が直したかったところ



「中野さん。斎藤くんのこと…」


「ん?」



篠田くんは泣きそうな、残念そうな顔をして



「なんでもない、体調悪いのにうるさくしてごめんね」



笑った



「ううん…大丈夫」



篠田くんも体調悪いのかな?


それとも…


中学のとき、あんなに一緒にいたのに


今の篠田くんの気持ちが全然わからない


俺は何か、君にしたのか?


君がそんな顔をする、何かを



「あ、着いたよ。じゃあ、僕はここで」


「う…うん。ありがとう」


「どういたしまして。まあ、今日はもともと午後から早退する予定だったから気にしなくていいよ」



じゃあ、と携帯を耳に当てながら歩いていった


並んでて思った、篠田くんまた背が伸びた


前は割と同じくらいだった目線が


全然違った



「男子って羨ましいな」



女子も別に悪くない


でも憧れる


小さい頃は男子になりたいと思ってた


運動ができて、力が強くて、背が高くて


何より自由だと思ったから


女子だってだけでやっちゃだめ


できない、無駄、敵うはずない


そう言われるのが嫌だった


兄貴達が、周りの友達が羨ましかった


だから、だから男みたいにしゃべって


男みたいに振る舞って


男みたいな見た目にしてきた


でも雅翔を好きになって、それでもいいと思えた


女でもいいと


雅翔と一緒に居られるなら