なんとか武田先生を説得して玄関に向かう


たとえ変質者とかでても負ける気しないしな



「あれ、中野さん。やっぱり気分悪いの?」



見上げると心配そうな篠田くんの顔


なんでここに?


音楽の教科書…


移動教室かなるほど



「もしかして早退?」


「うん…まあ」


「…中野さん一人で帰る気?斎藤くんは今日休みみたいだし、中島さんもいない…」


「一人で帰れるから…」


「じゃあ僕送っていくよ」


「え、大丈夫だから!」


「中野さん、女の子でしょ。しかも顔真っ青だし、一人じゃ心配」


「そんなに酷い?」


「うん」


「でも、クラスも違うし。迷惑かけらんない」


「大丈夫、僕も早退ってことにするから」


「え!?そんなの悪いし!!」


「無理しない無理しない。じゃあ先生に伝えてくるから、先に外出てて」


「……う…ん」


「あ、斎藤くんに誤解されたり僕と噂たっちゃうのとか嫌だった?なら、余計なお世話だったかな…?」


「いや、それは違う!」


「そう?じゃあ、待ってて」



そう言うと踵をかえして職員室に向かった


相変わらず優しいなぁ


篠田くん



「でも、なんか話すのうまくなったっていうか…」



雅翔みたいにまとめるのがうまい


あと…


「なんか結局送ってもらうことになってしまった」



誘導というか


丸め込めるというか


…なんか不思議な感じだなぁ