…どうしよう



「ここは、…で、……」



何言ってるか全然頭に入んない



「咲羅、咲羅、お前大丈夫かよ」


「大丈夫、な、はず」


「顔色悪いよ、咲羅」



両隣から心配されてる俺、今日ほんとだめだな


そういえば朝、篠田くんも心配してくれてたな



「今日、王子いないから落ち込んでるだけかとおもってたけど…。普通に体調悪いでしょ?」


「もしかして朝からずっとダルかったか!?」


「あー、そういえば」



靴履き違えたり


食欲なかったり


青葉の弁当持って行きそうになったり



「だめだなぁ、俺」



早退、するかな



「王子もいないし…、私、送っていこうか!?」


「いや、中島に送ってもらうか?」


「大丈夫、一人で早退する」



郁海は羽山くんと帰りたいだろうし


迷惑かけらんない



「この授業終わったら早退するわ」


「了解」


「気をつけてね」



とりあえずこの授業は耐えなきゃ


勉強は遅れてもなんとかなる



――キーンコーンカーンコーン



「じゃあ今日はここまで」



よし終わった



「それじゃ、また明日」



クラスのみんなに軽く手を振る


職員室行かなきゃ



「あ、中野王子」

「え!?あ、本当だ!!」

「キャー!」

「かばん持ってる!早退しちゃうのかな?」

「えー、今日王子が二人もいないなんて!」



あー、あの子達たしかファンクラブの…


一年生か、可愛いな



「お、中野どうした?」


「武田先生、早退しようと思って」


「珍しいな、気をつけろよ」


「はい、ありがとうございます」


「誰かに送ってもらうか?」


「いえ…大丈夫です」


「とは言ってもなぁ」