今ごろは青葉さんがドッキリを仕掛けられてる頃だろうか

リビングには俺、咲羅、晴香さん、詩乃さんがいる

椿さんは朝食の準備でキッチンに

蘭さんは髪のセットに時間がかかるらしく、洗面所にこもっている

晴香さんがひとつ欠伸をしてから、頬杖をついて俺をみた


「雅翔くんって寝起きいいんだね」

「え?いや、そういうわけじゃないですよ。ただ…びっくりしてしまって…」


眠気が吹っ飛んだ

それだけだ


「椿ね、昨日『明日の朝、お父さん何かしてくるだろうから早めに寝よう』とか言い出してさ、すぐ寝ちゃったの」

「ちょっと晴香、何話す気…」

「あたしに手出さなかったのよ!?意味わかんないし、来るわけないじゃん。ってそのときは信じてなかったんだけどさ、ホントに朝きたんだもんビックリ」

「晴香、いい加減にしなさい」

「えー。あ、椿、顔真っ赤」

「うるさい」


椿さんはやっぱり苦労人って感じだ

でも藤さんの動きを読んじゃうあたり、やっぱり勘が鋭いんだな

…それとも学習してるだけなのか?


「そもそも父さんが居るのに手なんか出すわけないだろ…」

「居なかったら出したの?」

「晴香」

「はいはい、ごめん」


観念したかのように両手をあげて笑う晴香さん


「またなんか言ったんですか?晴香さん」

「あら蘭くんお帰り」

「お帰りじゃなくて、詩乃もいるんですからそこら辺はほどほどにお願いします」

「え、俺たちは!?」

「ん…、まあどうでもいいかな。雅翔は」

「雅翔だけ!?」


…あれ、今


「だって、雅翔って初っぽく見えるけど百戦錬磨っぽいじゃん」

「蘭…お前なぁ」


椿さんが頭を抱えて呆れ声を出す

ていうか今、雅翔って名前で


「あの、蘭さ…」

「うぅああああわああああああぁあ」


遮ったのは断末魔のような叫び



あぁ、かかったのか…



その場にいた全員の心の声が重なった気がした