あくどいです

ていうか俺嫌われるようなことした…か…?


「あの…、お言葉ですが俺からは咲羅を振ることはないです」


起き上がりベッドの上で正座する

藤さんは寝転がったままだ

面を喰らったように目を見開いて

腹を抱えて……笑いはじめた


「ぷっ…、あはははははは!!ふふふふふふ、ははははは!ひー、可笑しい、あー、本当君は面白いねー、雅翔くん」


……は?


「寝癖、ついたままだよ」


…!?

咄嗟に髪を触る


「あー面白い面白い。しかもパジャマのままで真面目な顔するし、ほら後ろ、振り向いてごらん?」


後ろ…?


「さくっ…!」


ドアの前に昨日みたままの咲羅


「驚いた?あー面白かった。よし次は蘭のとこに行こうかな」

「藤さん…まさか全員のところに…?」

「当たり前。椿が1番で雅翔くんが2番目だよ。椿は早起きだからねーばれちゃったけど」


それじゃあねと手を振って部屋を出ていった

はぁ…本当この家の人は…


「ごめんね、雅翔…。お父さんああいう人だから」

「大丈夫、ちょっとビックリしただけだから」


本当はちょっとどころじゃないけど


「藤さん、優しいな」

「うん、優しいよ」


誇らしげに笑う

藤さんは多分俺に言わせたかったんだろう

俺がどのくらい咲羅が好きか

それを咲羅に聞かせて咲羅を安心させるために

ドッキリまで考えて


「でも…」


咲羅が付け加えるように口を開いた


「嫌がらせも入ってただろうね…」


……確かに

明らかに敵意が向けられていた