「ん?ああ、篠田くんか。副会長やってたの」
「仲よさ気に肩組んでるけど…」
「そうだね」
「ツーショットだけど」
「そうだね」
「こっちにはお似合いカップルとか落書きしてあるけど」
「そうだね」
「付き合ってたのか?」
「ううん、付き合ってないよ」
「…ホントに?」
「うん。だって俺の初恋、雅翔だし。俺の初めては全部雅翔にあげる」
「ちょっと待って、それ反則…」
「え?」
サラっとそういうこと言うなよ
すっげぇ恥ずかしいけど…
嬉しすぎてにやける
「雅翔?耳まで真っ赤だけど…大丈夫か?」
大丈夫なわけねぇよ
すっげぇ幸せ
「雅翔ー?」
「咲羅…襲っていい?」
「え、いいけど。椿も蘭も青葉もお父さんもいるしまだ起きてるよ」
「だよな、分かってる。だけどあっさりいいとか言うな」
「雅翔に初めて全部あげるって言ったし」
「そういう男らしいとこ惚れる」
「今は惚れてないの?」
「惚れてます」
可愛い顔してあっさりしすぎだろ
恥じらいとかないのか?
いや…可愛いって言われるのは苦手だったよな
「でも、わがまま言うならもうちょっと先がいいな」
「あぁ。初めてだもんな」
「うん、優しくしてね」
「いつも優しくしてるつもりだけど?」
「いつもの倍でよろしく」
「ははっ。了解」
俺も咲羅が初めてだった
こんなに好きなのも
こんなに離れたくないのも
こんなに可愛いと思うのも
こんなに守りたいと思うのも
早く俺のモノにしたいと感じるのも
こんなに手を出すことを躊躇うのも
咲羅が初めてだ

