「だが咲羅はまだやらん」


「まだって事はいつかはくれるという事ですよね?」


「あぁ」


「え!?いいんですか!?」


「婚約くらいは許す」



結構ぶっ飛んでる…


「だが条件が3つある」


「条件……?」


「1つ、咲羅を幸せにすること」


人差し指を立てながら言った


「2つ、咲羅を泣かせないこと」




「3つ、咲羅に我慢させないこと」



3つ目は凄く真剣な顔で、低い声で、俺に言った


我慢っていうのは、我が儘を聞くことじゃなくて、泣きたい時に泣いて、笑いたい時に笑って怒りたい時に怒る

感情を押し殺さないで、溜めないで、ちゃんと咲羅の言いたいこと、伝えたいことをきいてあげる


そういう事だと思う


「分かってます」



矛盾していようが、無駄だろうが、無茶だろうが、咲羅の為だったら出来る、やれる

失うことは怖いから



「だが結婚はまだ認めない」


「俺まだ17です…」


「そうか」


「というか、どうしてそんなに心を開いてくれるんですか?」


会ったばっかりで
大事な娘の彼氏なのに





「あの咲羅が好きになるくらいだ、信用しないわけがないだろう」


「あ、ありがとうございます」



この家は、咲羅中心で回っているんだろうな…


《咲羅がすることは正しい》


そんな感じなんだ


まぁ、あながち間違っちゃいないと思うけど




「雅翔くん、咲羅をよろしくな」



「……はい!」