キビキビと朝食の準備をする寮母の田西さん以外見当たらない、早朝の時刻。

怜悧はこっそりと寮を抜け出す。




すがすがしい朝の空気を大きく吸い込み一息つくと、建物の隅から建物の隅へと素早く移動した。


ここ1週間様子を見ていたが、一大イベントの試験も終わり、学園全体がのんびりと気が抜けた感じだ。



この状態なら、怜悧も動きやすいと休日の早朝から調査を開始することにしたのだ。




ま、とは言っても計画性ゼロ。


とりあえず広大な敷地をあてもなく彷徨うのみだ。



いつかの焼却炉をすぎ、桜並木を横切り、今まで踏み入れたことのない場所へと入っていく。

広すぎる敷地にだんだんと足が疲れてきた。

無駄に広い。

しかも、とくに面白そうなものも、変わったところも見当たらない。


"てか、何調査すればいいの?"


そこからだ。




草道を進んで行くと色とりどりの花が咲き誇る庭園が見えてきた。



「綺麗・・・」


あまりにも美しい光景に息をのむ。


陽射しに照らされてキラキラして見える花々から今にも妖精が飛び出してきそうだ。



こんないいところがあったんだな・・・

引きこもってたせいで全然知らなかった。


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