「樹里ちゃん。もう出る?」


眩い朝日が差し込む部屋。

ドレッサーの前に座り髪を結う樹里ちゃんの後ろでウロウロと落ち着きなく歩く怜悧。


「うるさいわね‼まだ、準備終わってないわよ。」


なっがい準備だな~


鬱陶(ウットオ)しい怜悧に樹里ちゃんは少しイラついている。
だが、そんなの関係ないとでもいうように怜悧はウキウキ気分だ。


「楽しみだなー」


「全く、そんなに観光したかったなら昨日も連れて行けばよかったわ。」



怜悧もチラッとそんなことも考えたが、昨日は昨日で凛のことが沢山知れて良かったと思っている。

あんなに叩き込まれたんだから・・・
もしかしたら、高龍学園で一番、凛のこと詳しいかも知れない。




「凛のこと知れたからいい。」


「まさか・・・凛さまに、恋愛感情なんて出てきてないでしょうね?」


「無いって‼ホントに無いからッ‼」



樹里ちゃん、凛の事になるとホント怖い。
ジト目で睨まれた。



樹里ちゃんのお出かけの準備が本格的に始まり、怜悧が暇を持て余していると、廊下からお手伝いさんの声が掛かった。



「お嬢様、お友達が来られておりますがどうなさいますか?」


「友達?誰かしら。」


「藍咲圭也さまです。」


圭也⁉
アイツ何しにきたんだ・・・⁉


「圭也?誰かしら・・・」


「俺の友達っ‼ちょっと行ってきていい⁉」


「待って。樹里も行くわ。」



樹里ちゃんと、一緒に急いで客間へと向かう。


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