「おい」


ここはどこだろう。
座り心地のいい畳に小さな丸いちゃぶ台。
太陽の光が障子(ショウジ)を通して眩く照らす小さな和室。


「ココ、ほんとに柔道部の合宿場所?」


「藤原が連れてきたんだから、そうなんだろう。」


「こんなとこで柔道したら、襖(フスマ)が外れるよ・・・」


そう、連れて来られたここは、柔道ができるほどの広さもなければ、部屋も2部屋しかないという和風のコテージだったのだ。
運動部のこてこての合宿場所を想像していた私は、思わぬ癒しの空間にここら辺を探検したい気持ちでいっぱいだった。

だが、現実は厳しくそんなことをする暇なんてないとばかりに鬼教師の光の元で鈴音と怜悧は勉強中なのだ。




「外に練習するとこがあるのかな?」

「おい。集中しろ。」


山積みになった参考書をちゃぶ台に載せ、何かを言いたげに光が目を細めた。

きっと、鈴音をみてみろとか、見習えとか言うに決まってる。


鈴音がいい子に勉強してるから、すぐに比べられる。
それに、鈴音には私の時より熱心に教えているような気がする。

それが面白くなくて、むすっとした顔で光を見返した。


「鈴音を見習えよ。」


あー言っちゃった。
普段は仲が悪い癖に・・・

瞬く間に怜悧の顔はふくれっ面になる。


「はぁ、もう好きにすればいいよ・・・」


ムッスーーーー‼


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