えっとー…救急箱は……管理人さんから借りてこなきゃ。 普段私には必要ないものだし。 手当ての最中、松希は何も言わなかった。 ただ、じーっと私を見ていた。 昨日、初めて逢った時と同じように。 そして唐突に口を開いた。 「そういえば、イブは平気なのか?」 「え?何が?」 「いや、その…。殴られただろ?…まぁ、今は跡形もねぇけど」 …本当に松希は意外なことばかり言う。 私の身を案じる人なんて今まで誰もいなかったのに。