【完】愛は溺死レベル



以前先輩についた嘘を思い出して、ギクリと効果音がなった気がした。


……仕方が無い、嘘をついたわたしが悪いんだもの……



「……ご、めんなさい……」



正直に謝って、わたしをじっと見つめている先輩の顔を見た。

申し訳なくて、唇をキュッと噛む。



「なにその顔、可愛いんだけど」

「え?」

「ううん。……ホラーは好きじゃないの?」

「……ほんとは……怖いの、ダメで……」

「ふっ、素直。可愛いから許してあげる」



先輩が、DVDの再生ボタンを押す。



「杏、おいで」



う、わっ……!

映画が始まって、先輩はわたしの腕を引いた。

すっぽりと、後ろから抱きしめられるような体勢になり、頬が熱くなる。

先輩、いつもこの体勢っ……後ろから抱きしめるの、好きなのかな……っ?