【完】愛は溺死レベル



不思議そうにわたしを見る先輩に、今度こそ溜息を吐き出した。

おかしい……絶対に……わたしの家の部屋を全部足しても、先輩の部屋の広さには及ばない気がする……。



「おじゃま、します……」

「そこのソファにでも適当に座って。俺DVDとってくるから」



ひとり残された部屋で、恐る恐るソファに腰を掛けた。

ふ、ふかふかだっ……。

黒が目立つモノクロで統一された、シンプルな室内。


必要最低限のものしか置いていないのか、部屋の面積に対して家具が少ない気がした。



「お待たせ」



ドアが開く音と共に、先輩がDVDを持って戻ってくる。

ソファに座るわたしを見て、先輩が固まった。



「……」

「……先輩?」

「…………俺の部屋に杏がいるって、いいね」

「……?」

「ふふっ、映画観よっか」