「杏、部屋行こ」
「わっ……」
わたしの手を掴み、スタスタと歩いていく先輩。
えっ、と……靴、脱がなくていいの……?
なんだか別世界に来てしまったようで、何が何だかわからない。
こんな映画に出てくるようなお家……本当に存在したんだ……。
「ここ、俺の部屋」
「……へ、部屋?」
先輩、これは部屋って……言わないと思います……。
クラシックな造りの扉。その先に広がる、ホールのような広い空間。
広さだけで言えば、マンションの一室となんら差異は無いだろう。
広い……広すぎる。
それに、置かれているもの全てが高価なものに見えて、テレビなんて、見たこともない大きさだ。
広すぎる部屋に、わたしは開いた口が塞がらない。
「杏?どうしたの?」
「これ、先輩のひとり部屋ですか……?」
「そうだけど……それがどうかした?」

