「……どこでもいいです。……先輩は行きたいところありますか……?」

「俺は、杏が行きたいところに行きたい」

「……」



ダメだ……話にならない……。



「それじゃあ、レンタルショップとか……」

「レンタル?みたい映画でもあんの?」



とりあえず、お金のかからないところに行こうと思い、一つだけ思い当たった提案をしてみた。


一ヶ月前から、借りたいDVDがあり、レンタルショップに足を運んでいる。

けれど、人気の映画な為、いつお店へ行っても在庫がない。



「はい……」



どうせ置いてないだろうけど、とりあえず先輩はどこかへ行きたいみたいだし、行ってブラブラ店内を見たら満足してくれるだろう。

はぁ……一体いつになれば、レンタル出来る日がくるんだろう……。


並べられた空のDVD箱を思い出して、肩を落とした。