先輩の息が耳にかかって、くすぐったい。
でも、それ以上に……頬が、熱くてたまらない。
今きっと、情けないほど真っ赤な顔してる……っ。
どうして、こんなに、ドキドキするの?
どうして……抱きしめられるのが、嫌じゃないんだろう……。
むしろ、先輩の腕の中、温かくて……安心、する。
わたし、どうしちゃったんだろう……
「杏の匂い、すげー癒される」
「に、匂いっ……?」
「5限目サボっちゃう?俺といちゃいちゃしときたいでしょ?」
「し、しないですっ……!」
「はーあ、つれないな……」
残念そうに、溜息を吐く先輩。
「杏、今日は放課後どこ行く?」
「え?」
「デート、どこ行きたい?」
「きょ、今日もですか……?ていうか、デートじゃないですっ……!」