【完】愛は溺死レベル



「俺、一緒に昼食べてくれる友達とかいないから、羨ましい……」

「先輩……」



もしかして、いつも一人で食べてるんだろうか……?

先輩って、人気者だから友達が多そうなイメージがあるけど、もしかしたら、人付き合いが得意じゃない人なのかもしれない。



「い、一緒に食べましょうっ……!わたしでよかったら……」



思わず、そんな台詞が口から零れていた。



「……チョロすぎ」

「え?」

「ううん。嬉しい……ありがと、杏」



嬉しそうに微笑む先輩に、なんだか、わたしまで嬉しくなった。

同情を煽って騙されたのだとわたしが気づくのは、もっと後の話。


他愛のない話をしながら、お昼ご飯を食べる。



「ごちそうさまでした」



お弁当を片付けて、水筒に入ったお茶を飲んだ。



「杏、こっち来て」

「……?」