【完】愛は溺死レベル



「そうだよタズちゃん、翔くんに失礼だよっ……」



翔くんみたいな王子様系美男子が、わたしなんか相手にするわけないのに。

反論すると、何故か、さらに慌てた表情になった翔くん。



「ち、違うよ!そ、そうじゃないんだ……!」

「……?」

「ええっと……僕は、杏ちゃんみたいな人、凄く素敵だと、思うよ……!」

「え?」

「優しいし、可愛いし……って、ごめん、何言ってんだろ……あはは」



翔くん……



「ふふっ、翔くん、お世辞が上手だね。さすが王子様」



わたしにまでそんなふうに言ってくれるなんて、さすが、モテる人は違うなぁ……!



「残念、そんなアピールじゃ、超絶無自覚ちゃんには伝わらないみたいね」

「……ここまでとはね……あはは」



小声で二人がそんな会話をしていたなんて、わたしは知る由もなかった。