「そうだよタズちゃん、翔くんに失礼だよっ……」
翔くんみたいな王子様系美男子が、わたしなんか相手にするわけないのに。
反論すると、何故か、さらに慌てた表情になった翔くん。
「ち、違うよ!そ、そうじゃないんだ……!」
「……?」
「ええっと……僕は、杏ちゃんみたいな人、凄く素敵だと、思うよ……!」
「え?」
「優しいし、可愛いし……って、ごめん、何言ってんだろ……あはは」
翔くん……
「ふふっ、翔くん、お世辞が上手だね。さすが王子様」
わたしにまでそんなふうに言ってくれるなんて、さすが、モテる人は違うなぁ……!
「残念、そんなアピールじゃ、超絶無自覚ちゃんには伝わらないみたいね」
「……ここまでとはね……あはは」
小声で二人がそんな会話をしていたなんて、わたしは知る由もなかった。

