俯きながら、校舎までの道を歩いていると、背後で女の子たちの黄色い声が上がった。

ビクッとして振り返ると、女の子たちの視線の先には、わたしの悩みの種が。



「皇さんよ……!朝から見れるなんて、幸せ……!」

「会長!おはようございます!!」



う、ウソ……まさか、朝から遭遇するなんてっ……!


笑顔で女の子たちに手を振り、歩いてくる先輩。

そうだ、気づかれる前に逃げよう……!


そう思って、駆け足になった時だった。



「杏」



……き、気づかれた……。


無視するわけにもいかず、恐る恐る振り返る。

先輩が、笑顔を浮かべてわたしの元へ駆け寄ってきた。



「おはよう」



うっ……笑顔が、眩しい。

ていうか、女の子たちの視線が、痛い……。



「お、おはよう、ございます……」