唇に伝った、自分以外の熱。
慌てて離れようとしたら、先輩の腕にそれを防がれた。
逃がさないとでもいうかのように、わたしの腰に手を回し、自分の方へ引き寄せてくる先輩。
すぐに離れるかと思ったのに、先輩の唇はなかなか離れてはくれなくて、わたしはぎゅっと目を閉じた。
息が、できないっ……。
一体いつになれば解放されるのか、もう窒息死する……!とさえ思ったわたしは、先輩の胸を叩く。
も、もう無理っ……!
先輩もそんなわたしに気づいたのか、ようやく身体を離してくれた。
「……はっ、っぅ、何するん、ですかっ……!」
ファーストキスの次は、セカンドキスまで奪われたっ……
「なにって、キス」
「〜っ、最低、酷いですっ……」
「杏がかわいすぎるのが悪い」
全く悪気が無さそうで、むしろしてやったりとでも言いたそうな先輩の顔。

