【完】愛は溺死レベル



……っ。


先輩、心臓の音、凄い……。


どう、して?

先輩も、怖いの……?


不思議に思って、恐る恐る少しだけ瞳を開けた。

狭い視界の中で映ったのは……優しく微笑む先輩の顔。



ーーードキンッ。



……ず、ずるいっ……。



先輩は、きっとホラー映画なんて全然怖がってない。

それなのに、こんなにも心臓がうるさいのは……ドキドキ、してくれてるの……?


本当に、わたしのこと……



「っ、やっ……」



そこまで考えた時、再び室内に響く嫌な音。

思わず、ぎゅっと先輩に抱きついた。


そんなわたしを、先輩は優しく抱きしめながら、頭を撫でてくれる。



「怖くないから、目瞑って」



わたしを安心させようとしてくれているのが伝わって、再びドキリと音を立てる心臓。