【完】愛は溺死レベル



そ、そう、なの……?

……って、デートじゃないもんっ……!



「で、でも……」

「はいはい。映画始まるから行こう」

「せ、先輩っ……!」

「杏、なにか飲み物とか食べ物要らない?」

「え?……いえ、いりません……」

「ん、じゃあ行こう」



笑顔の先輩に、わたしはもう、嫌だとは言えなかった。













ど、どうし、ようっ……。


意を決してシアターに入ったものの、予告からもう、無理です……っ。

関連映画の予告が流れるため、ホラーものばかりが画面に映る。



「……ひっ」



大きなサウンドとともに、画面一面に映し出されたゾンビの顔。

冗談抜きに心臓が一瞬止まった気がして、わたしは身を縮こめた。



「あれ?こういうえげつないのが好きなんじゃなかったの?」