「……ほ、ほんとに?」
「うん、観たいんだろ?」
「……は、はい……」
顔色ひとつ変えず、むしろ楽しそうに笑みすら浮かべている先輩。
わたし、結構サイコパスな発言したと思うんだけどなっ……。
「これのチケット二枚、お願いします」
ほ、ほんとに観るの……!
シレッと財布を出して、チケットを購入する先輩に、慌ててかばんを開いた。
「せ、先輩、お金払います……!」
「いいって」
奢ってもらうなんて、そんなの出来ない……ていうより、嫌だっ……!
な、なんだか、借りが出来たみたいだもんっ……!
「払わせてくださいっ……」
財布を開いたわたしの腕を、先輩の手が掴んだ。
「デートでは、女の子は財布出さないの。これ常識」

