【完】愛は溺死レベル




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「せ、先輩っ……!」

「……」

「……先輩?」

「……」

「あ、あの……何か、怒ってますか……?」



スタスタと、黙ったまま進んで行く先輩。……相変わらず、手は握ったまま。



「うん、怒ってる」

「ど、どうして……?」



なにやらイライラしている様子で、不機嫌なオーラを垂れ流している先輩。

先輩が怒る理由がわからなくて、何も言ってくれない先輩に、なんだか悲しい気持ちになった。


突然、ピタリと足を止めた先輩。

くるりとわたしの方へ振り返り、頬に手を添えられた。


……えっ?



「そんな顔しないで。別に、杏に怒ってるんじゃないから」



せん、ぱい?

怒ってたと思ったら、急にそんな優しい顔になったり……先輩、よくわからないっ……。

でも、その笑顔は、反則です……。