【完】愛は溺死レベル



わたしよりも綺麗な人なんて、この世に山ほどいるから、先輩の目が眩んでも、おかしくないかもしれない。


最近、そんなことばかり考えてしまって、どうしようもなかった。



「合格、ほんとにおめでとうございますっ」

「ありがと」

「凄いです、あんな偏差値の高い大学に合格するなんて……」

「ま、勉強だけできたらいいやって思って選んだからさ。大学生活とか、興味ないし。早く卒業して、杏のこと養えるように頑張るよ」



普通なら嬉しい言葉のはずが、いまは素直に喜べなかった。



「俺が大学卒業したら、結婚しようね?杏は仕事とかしちゃダメだよ。絶対させないから」

「そんな、先のことっ……」

「もう決定事項だから。杏は俺と結婚して、専業主婦になんの」