【完】愛は溺死レベル



好きなんて……ない、よ……。



「……さ、教室戻ろうか?行こう、杏」



優しい微笑みを浮かべた先輩に手を差し伸べられ、素直にその手をとった。

生徒会室を出ると、先輩は迷うことなくある方向へと進んでいく。



「あ、あの、先輩……?」

「ん?」

「こっちは一年の階じゃ……」

「うん。彼女送って行くのは当たり前だろ?」



3年生の先輩が、どうしてこっちの方向へ向かってるんだろうと思ったら……



「私、一人で大丈「そんなこと言う口は、塞いじゃうけどいいの?」



授業まで5分しかないし、私を送って行ったら先輩が間に合わない……そう思い断ろうとした私に、返ってきた台詞。

なっ……また、そんなこと言う……っ。



「ん、わかればいいよ」



黙り込んだ私に、先輩はご満悦。