【完】愛は溺死レベル


「……ぁ、ぅ……せん、ぱい……」



こ、この人、本当にズルい……っ。

精一杯を振り絞ってそう呼べば、会長さん……先輩は、なにやらとても満足そうな顔。




「かーわい……」



私の髪をくるくると弄りながらそう言われて、頰がボボッと熱くなった。



「先輩って、全然恋人っぽくないけど……ま、会長さんよりかはマシだから、今はそれで許してあげる」



やけに"今は"を強調する言い方。

でも、機嫌を損ねるようなことにはならなかったようで、ご機嫌な先輩にホッと胸を撫で下ろした。

この流れで、ここから逃げよう……!


そう思った時、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴る。


なんていいタイミング……!

思わずガッツポーズをしてしまいそうになった私とは裏腹、先輩は残念そうに肩を落とした。