【完】愛は溺死レベル



待って待って……もう、あまりの急展開に、ついて行けませんっ……。

ダメだ……ペースを乱され過ぎて、もう私にこの人は止められない……っ。



「あの、会長さん……私の話、聞いてましたか……?」

「ん?デートするってことでいいでしょ?杏の好きなとこ行こうか。どこに行きたいか考えてて」

「いや、そうじゃなくて会長さ……「悠牙」



私の言葉を遮るように、そう言った会長さん。



「彼氏なんだから名前で呼んでよ。ほら、杏。呼んで?」



か、彼氏なんだからって、不本意なのに……

突然呼び捨てなんて、出来るわけないっ……!



「む、無理ですっ」

「無理じゃないでしょ、ほら、呼んで?」



嫌だと拒否した私に、会長さんはにっこりと微笑んでくる。

なんだか絆されそうになってしまいそうな笑顔に、意志の弱い私が抵抗できるはずもなく……