えへへ……照れてる先輩、珍しいっ……。 「だって……先輩、ホンモノの王子様みたいですっ……!」 先輩の顔をじっと見つめながら、微笑んだ。 「うん。俺は杏の王子様」 「わたし……の……?」 「うん。杏だけの」 「……それじゃあ、世界一かっこいい王子様ですねっ」 今すぐに抱きつきたい気持ちをぐーっと堪えて、先輩の手をそっと握る。 人目があるから、これが限界っ……。 「……杏。お前ね、あんまり俺を調子に乗らせるな」