会長さんに変な噂を立てられたら……お、女の子みんな敵に回してしまう……っ。
それだけは、嫌だっ……。
頷いた私に、会長さんは満足げな顔。
「ん、いいこ」
優しく頭を撫でられて、またしてもドキりと心臓が音を立てた。
散々無茶ばっかり言ったのに、急に優しくするの……ズルい。
うぅっ……頭を撫でられたくらいでときめいちゃった自分が情けない……。
「杏」
自己嫌悪に陥っていると、急に名前を呼ばれて、顎を掴まれた。
クイっと顎を持ち上げられ、目線を合わせさせられる。
真っ赤な瞳が、私だけを映して、真剣な眼差しで見つめられた。
「お前は今日から俺のものだから、他の男と遊んだりするの、禁止だよ。浮気とかしたら……俺、相手になにするかわからないからね?」
冗談を言う口調ではない台詞に、意味がわからなくて唇を噛む。

