「俺もその日、杏のことデートに誘おうと思ってたのになー」



え……?



「……デート?」

「そ、二人でゆっくりしたかったのに」

「……」

「まあ杏は他の男と遊ぶらしいし、残念」



真顔でそんなことを言う先輩は、完全に怒っているらしい。


そんなの……わたしだって、出来るなら先輩と過ごしたかった。

でも……仕方ない、もん……。

先輩の意地悪……。


悲しくなって、視線を下げる。


そんなわたしを見て、先輩は口角の端を上げた。