「杏、お待たせ」 放課後、いつものように、先輩がわたしの教室まで迎えに来てくれた。 「帰ろっか?」 「はいっ」 先輩と手を繋いで、一緒に帰る。 先輩とわたしが付き合っていることは、もう周りに知れ渡ってしまったらしく、校内で手を繋いでいても、何か言う人はいない。 先輩が何か言ったのかわからないけれど、取り巻きの女の人たちもすっかりいなくなり、平和な毎日を送っていた。