【完】愛は溺死レベル



驚いて顔をあげると、視線が交わって、にっこりと微笑まれた。



「今日からよろしくね、彼女」



綺麗な笑顔に、思わずドキッと胸が高鳴る。

……って、よろしくじゃないですってば……!



「だから、彼女なんてなりませんっ……!」

「杏に拒否権あると思ってんの?」



……え?



「俺がちょっと泣きつけば、杏どうなっちゃうんだろうな〜……2、3年の女たちに『鈴森杏が無理矢理キスしてきた』とか言った日には、楽しーい高校生活が台無しだね?」



唇の端をあげて、悪そうな笑みを浮かべた会長さん。

その表情と発言に、血の気がサーっと引いた。

こ、この人……鬼だっ……



「わ、わたし、そ、そんなことしてないですっ……ひ、酷い……」

「で、俺と付き合うよね?」



有無を言わせない笑顔を向けられて、私は頷くしかなかった。