【完】愛は溺死レベル




こんなまだ会ったばっかりの、突然キスしてくるような人となんて……い、いやだっ……。


必死にNoと叫ぶ私に、会長さん再びクスッと笑う。



「俺は杏が好きだから大丈夫」



そして、意味のわからない発言をした。

な、なんだかこの人……軽い……



「す、好きって、会ったばかりですよ…!?」

「んー…。一目惚れしたってことで」

「嘘ばっかりつかないでください…」

「あれ、バレた?」

「当たり前です!」

「でも、俺は杏が好き」



そう言った会長さんの目は、驚くほどに真剣だった。

どうしてそんなことを言うのか、そしてその瞳に秘められた意味がわからない。


まるで、本当に私を慕ってくれているような感覚にさえ陥って、思わず息を飲む。



「だから杏は俺の彼女にする」



しかし、すぐにその表情は一変し、会長さんは意味深な笑みを浮かべた。